2020年12月9日水曜日

机上の空論

 


GoToトラベルの是非が論じられている。経済活動か感染対策か!経済より人命の方が大切だという意見はもっともだが経済打撃による自殺者の増加を考えると単純にロックダウンすればいいというものでもない。10月の自殺者数は昨年同月より600名ほど多かったらしい。厚生労働省の調べでは、7~10月の全国の自殺者数は累計7710人に上り、昨年の同期を1113人上回っている、月平均300人弱。コロナによる病死者は3月からの約9ヶ月で2100人、月220人ほどになる。コロナによる病死数とコロナによる自殺者数を合わせた数がもっとも少なくなる経済活動を上図のように計算して見つけ出せばいいのだが実際にはこんな方程式のようなものは存在しない。まさしく机上の空論である。実際には闇中模索しながら行動するしかないのだろう。

それにしても政府は「GoToトラベルが感染拡大になっているエビデンスはない」と連呼してこの政策を推し進めているが「GoToトラベルが感染拡大にならないというエビデンス」もないのだから注意深く進めなくてはいけないはずだ。図の右側に偏っていく感じがしてならない。

コロナの死者よりも多い自殺者数に海外メディアが驚愕。Yahoo!ニュースよりhttps://news.yahoo.co.jp/articles/468823530bb795058b5d12e78a29eb6889f409c1

追記 20210202
新型コロナウイルスの感染症対策と経済損失の関係について、東京大の仲田泰祐・准教授(経済学)らが推計をまとめた。これによると東京都の緊急事態宣言を感染者数400人で解除した場合と100人で解除した場合では経済的損失が4100億円違い。1年間の死亡者数で考えるとそれぞれ2000人と1100人となり900人の差となる。(コロナの影響による自殺者はカウントされてないと思われる)
死亡者数と経済的損失額を関連付けたのは意味深い。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG311730R30C21A1000000

日経新聞より


https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210202/amp/k10012845961000.html

NHKホームページより





2020年9月23日水曜日

ベーシックインカムを考える2

 コロナ対策として国民全員に給付金100,000円が支給された。人口が約1億2千万人として総額12兆円となる。

これは一時的にベーシックインカム(BI)が実行されたという事もできる。しかし全員給付の方法が慣れないためか支給に混乱をきたした。申請方法は郵送とマイナンバーカードの2通りであったがマイナンバーカードからか申請した方が早いという情報がありマイナンバーカードを持ってない多くの人がカード発行申請のため役所の押しかけた。またマイナンバーカードを持っていても使い慣れていないためか申請の際パスワードを規定回数以上誤入力しロックしてしまいロック解除のために役所に来る人も多数発生し、混乱状態となった。さらにマイナンバーカードと振込口座の紐付が多大な事務負担となった。そのため結局郵送の方が早いというドタバタが露呈した。ベーシックインカムにはマイナンバーカードの普及(現状20%未満)と口座の紐付きが必須だと痛感したのである。

この一律給付によりベーシックインカムについての議論が再熱しているらしい。(参考資料)

前回ベーシックインカムを考えた時は増税をしない前提で医療介護なども全て個人負担として考えていたが現実的には難しい。増税を前提としたベーシックインカムについて考えてみる。

2018年の社会保障給付費は年金56.7兆円医療費39.2兆円介護10.7兆円その他14.6兆円で合計121.3兆円である。

ベーシックインカムを年間1,000,000円/人(月83000円/人 3人家族だと月25万円)とすれば必要な費用は120兆円ほどになる。

ここで年金部分にベイシックインカムを導入すれば社会保障給付費は183.7兆円となる。財源は下図に基づき公費48兆円、保険料69兆円とすれば約120兆円で不足額約64兆円。20年度の税収予想額は63.5兆円なのでほぼ倍額になるが以前検討した資産税を導入すれば可能性はある。

(年金支払業務がベイシックインカムで簡素化するので行政コストの大幅な削減が期待できる)

(2018年4月11日の財務省財政制度等審議会財政制度分科会の資料「社会保障について」)

3人家族試算(夫婦+小学生) 月額
収入25万円 (ベイシックインカム)
家賃        8万円    アパート郊外2DK
社会保険料    4万円 
食費     6万5千円
光熱費    2万円
通信費    1万5千円
教育費他 3万円

上記の生活で満足なら働かないで興味ある事をすれば良い。金にならない事は無駄な事であるという認識は間違っている。金にならないことが予想もつかない成果を生み出す可能性は十分ある。
ただこれでは衣服、レジャー、生命保険、医療費等の費用がないので現実的には切り詰めるかパートで補う必要があるだろう。
裕福な生活が望みなら一所懸命に働いて稼げばいいだけである。
ベイシックインカムは社会主義国家のように同様の生活を押し付けるものではない。
富裕層にベイシックインカムは給付しないという考えかたもあるが給付に条件を付けるのはベイシックインカムの基本理念に反し、給付業務も煩雑になる。この問題に対しては累進課税で対応する。ベイシックインカムの収入を所得税の対象として100万円以下は納税額0円として仮に課税所得500万円で20%とすれば500万円以上で事実上ベイシックインカムの給付金100万円は回収できる計算になる。

ベイシックインカムは社会のセーフティーネットとして機能し成長主義社会によってもたらされた格差を是正する大きな力になる。
成熟社会においてはこのベイシックインカムと資産税が両輪になると考えている。

[参考資料]

ーーROAD TO NEXT STAGE  (所得税から 資産税へ)よりーー

資産税の控除額を5千万円とすれば対象世帯は全世帯数の8.8%。資産税対象額は350兆円、税率を5%にすれば17.5兆円になる
また民間企業の金融資産は1279兆円(2022年)といわれている。仮に半分を控除したとして対象額は*640兆円、税率を5%を課税すれば32兆円。合わせて約50兆円となる

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ベーシックインカムについての僕からの提案は、できれば受給者たちの1部がそれによって「21世紀のランティエになってくれることです。お金はまぁ生活するぎりぎりしかないけれど、暇と好奇心と冒険心だけは売るほどあると言う人たちがそれなりの頭数存在する事は、社会を風通しのよいものにする上では大変有効です。彼らが社会にもたらす「プラス」が、制度に依存して無為徒食するだけで何もしない人たちのもたらす「マイナス」より少しでも大きければ、成功だと判断して良いと僕は思います。(ランティエ:ヨーロッパ近代の金利生活者)

コモンの再生 内田樹より

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井上智洋 駒沢大経済学部准教授

日本も100,000円給付を実施したが、所得制限なしで一人ひとりに同額を配ると言う点で最もB Iに近い。

            —中略—

全国民が対象なので気兼ねなく受給でき、救済すべき人を取りこぼすことがない。B Iのみで生活していた人が働き始めても給付額は減らず労働意欲を損なわない。社会保障制度は簡素化され、行政コストも減る。

一方B Iには誤解も多い「働きぶりに関係なく所得が同一になる」と言うのが典型だ。だが、税金の取り方次第で格差を縮めることができる。B Iで給付するお金を累進課税の所得税の対象(課税所得)にすれば、富裕層が後で納税するのに対し低所得層は納税せずに満額もらうことになる。

            —中略—

 「人が怠けて働く働かなくなる」との批判もよく聞くが、給付額による。月400,000円も寄付するならともかく、70,000円程度なら多くの人は仕事を辞めないだろう。1974年から79年にカナダで行われた実験では、受給者の労働時間がわずかに減っているが、10代の子供が学校に買うようになったり、保護者が育児に充てる時間を増やしたりと、社会的に好ましい例が大半だった。

「社会保障を全て切り捨てる制度」と言うのも勘違いだ。失業や一人親家庭は「お金がない」問題としてB Iで解決できるが、老齢や病気、障害などの「ハンディキャップ」はそうではなく、支援を維持・拡充する必要がある。

            —中略—

マイナンバーを活用して把握した個人資産に課税する「資産税」などが望ましい。

(BI:ベイシックインカム)

毎日新聞2020年9月23日特集記事より抜粋


維新の会のベーシックインカム戦略


https://youtu.be/D_jPShQbSkM


https://youtu.be/nCuDVDsMhzY


https://youtu.be/TpKCk0bLDZg


追記2023/11/23


AIに聞いてみた。


Q

流動資産税を導入して、ベーシックインカムをによる社会を築く事に問題はありますか?

A

ベーシックインカムとは、国民全員に一定の金額を支給する制度であり、流動資産税は個人の現金や銀行預金などの流動資産に対して課税する制度です。


ベーシックインカムを導入することにより、社会的な格差や貧困を緩和する可能性があります。しかし、流動資産税による問題点も考慮する必要があります。


1. 富の再分配: 流動資産税が導入されれば、富裕層からの課税が増加するため、富の再分配が実現される可能性があります。しかし、富裕層は財産を海外に移転させるなどの回避策を取る可能性もあるため、国内の富の再分配に制限が生じる可能性もあります。


2. 経済成長への影響: 流動資産税の導入により、富の再分配が進む一方で、富裕層や企業が投資を控える可能性もあります。これにより、経済成長が阻害される可能性があります。


3. リスク回避行動: 流動資産税が導入されると、個人や企業はリスク回避のために資金を流動資産から他の資産へ移す可能性があります。これにより、資本市場や金融システムへの影響が生じ、経済への負担が増加する可能性があります。


4. 管理コスト: 流動資産税の実施には、個人や企業の資産の監視や課税手続きを行うための管理コストが必要となります。これには、税務署や監視システムの整備、情報収集のための追加費用などが発生する可能性があります。


以上のような問題点を考慮する必要がありますが、具体的な制度設計や社会背景によっては、ベーシックインカムと流動資産税の導入が社会の持続可能性や公正性に寄与する場合もあるかもしれません。

2020年4月20日月曜日

接触を避ける行動=外出自粛?

緊急事態宣言が4月7日に出された。一般人には強制力はないが強い要請と言ったところであるが人生初体験でもある。
必要不可欠(買物、通院等)な外出以外は自宅にいてくださいという要請で仕事、学校もネットを活用しましょうといっている。道路封鎖があったり、公共交通機関が止まる事はない。
人との接触を8割減らせれば感染は収束に向かうとの事だ。接触とは2m以内に近づく事だと理解している。「接触を避ける行動=外出自粛」というのがよく分からない
人と接触しない外出はたくさん考えられる。ジョギング、散策、公園利用、サイクリング、ドライブ、畑仕事、ハイキングなどは店舗施設、公共交通機関などを利用せず単独で行えば人との接触はない。外出自粛というと空気感染で外に出ると危険だと誤解されてしまうのではないだろうか?(散歩などは自粛に含まれないとは説明しているようだが、、)
東京など感染者が多いところから避難のために地方にくるコロナ疎開はやめてくださいとも言われ出した。外出自粛の息苦しい都会から離れて地方で伸び伸びしたい。または学校も休みなので実家に帰って家族と暮らし地元の友人とも会うなどといった行動に対して警鐘をならしている。確かに東京から地方にきて地元の人たちと多く接触するような行動は感染拡大になるがこれも人と接触しないように生活すれば問題は無いはずである。
要は人との接触回避なのに拡大解釈されて様々な行動が制約、非難されるのはおかしいと思うのである。
反対にお買い物など必要最低限の外出はOKです。といわれると買い物であればなんでもOKだと勘違いして家族で連れ立ち人混み状態でも平気で大勢の人と接している有様である。「人に近づかない」ことが重要でありこれに例外はない。例外ありの外出規制では例外が拡大解釈されてしまいかえってリスクを高めている。

網戸で砂嵐は防げない

マスク不足で大騒ぎとなっている。安倍さんは一世帯当たり2枚の布製マスクを配ると発表してこれまた物議を醸し出している。そもそも「マスクは感染者が人にうつさないためにするもので健康な人がマスクをしても感染防止にはならない。」というのが専門家の通説になっている。



しかし多くの人がマスクをしてれば感染予防になると信じマスク信仰者になってマスクを購入するために長蛇の列に並び感染リスクを高めるという本末転倒状態である。
感染者の咳、くしゃみ、大声によって吐き出される飛沫に大量のウイルスが含まれているのでマスクで飛沫をシャットアウトするのがマスクの最大の効果だ。飛沫はマスクのメッシュより大きいのである程度飛散防止ができるが全てのウイルスを止める事は出来ず空気中にウイルス単体が放出されてしまう。ウイルスはマスクのメッシュよりはるかに小さいので近くにマスクをした人がいても簡単にすり抜ける。例えれば網戸で砂嵐を防ごうとするようなものでマスクでウイルスの侵入は防げないのである。
では健常者のマスクは全く無意味かといえばそうでもない。マスクをしてない感染者の飛沫が直接侵入することを防ぐ、口内の湿度を保つ事で感染リスクを下げる、手から鼻口への直接接触を防ぐなどである。これらは二次的な効果であるがマスクをしないよりした方が良いといったところだ。しかし飛沫や手などによって汚染したマスクを長時間使用していればウイルスは容易に口内に侵入する。飛沫が乾燥すればウイルスは侵入してくるのだ。マスクの感染予防効果を期待するなら頻繁にマスクを替える必要がある。
しかし今回のコロナには無症状感染者というとても厄介な健常者が多く存在する。それを考えればマスクをするのは拡散防止と言う意味で必要になる。

後日追記

マスクではウイルスを防げないと信じていたが下記のような実験データが公開された。
これによればウイルスはマスクの網目より小さいがウイルスは空気分子とぶつかって動きマスクの繊維に引っかかって70%程度取れ、最も効果的だったのがキッチンペーパー(80%)という興味深い内容であった。
マスクの効果を再認識しなければいけない。「砂嵐と網戸」とは少し違うようだ。
http://www.youtube.com/watch?v=T4fhfCUWFL4


NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201022/k10012674851000.html
マスクでウイルス拡散抑え吸い込み減らす効果 東京大など確認 


2020年4月8日水曜日

自分の手と近くの人間

大変な事になってきた。
ヨーロッパ、アジアで猛威を振るっているコロナがアメリカにも広がり世界中の感染者数が100万人、死亡者5万人(2020/04/03)という状況で感染者の8割は軽症、無症状で2割が重症になり、その25%が急激に悪化し死に至ると言われていてイタリア、ニューヨークでは医療限界、崩壊になっている。オリンピックも一年延期、イベント、学校などは中止、休校、外出自粛などで経済、社会への影響は計り知れない。見えない敵の恐ろしさを思い知る。そして世界中がコロナを共通の敵として戦っている戦時となってしまったのである。これまでもSARS、MARSなどとの戦いはあったが私にはどこか他人事であったが今回は違う。これは人間同士の戦いではなくコロナウイルスと人間が戦うコロナ世界大戦ともいえる。
ちなみにスペイン風では第二次世界大戦とほぼ同じ 8000万人近くが死亡したと言われている
このウイルスが厄介なのは無症状でも感染力があるらしいという事だ。
ウイルスの唯一無二の目的が自己増殖だとすればエボラのように死亡率が高く寄生主を殺してしまうのは元も子もないので死亡率は低くして気がつかれずに(無症状)寄生主内で自己増殖をして他の宿主に感染するのが得策となる。そう言った意味でこの新型コロナウイルスは強敵である。もしかしたら自分はすでに無症状感染しているのかもしれないのだ。
そうであれば感染しないようにかつ人に感染させないように注意する必要もある。
しばらくは「自分の手」と「近くの人間」に注意して生活する必要がある。

各国で感染者数が発表され、その数字により感染の拡大を評価しているようだが感染者数は検査状況で大きく変わるのであまり意味がないと思う。それに比較して死亡者数は医療能力と感染者数を統合した数字としてコロナの被害を反映していると考える。
そこで人口当たりの死亡者数で評価すると下表になる。
これによれば日本は今のところ他国と比較して押さえ込んでいるようであるが今後が気に
なる。

2020年4月3日 人口当たりの死亡者数


死者数
人口
(百万人)
百万人当たり死亡者数
イタリア
14681
60
244.7
スペイン
10935
46
237.7
ベルギー
1143
11
103.9
フランス
6520
67
97.3
オランダ
1490
17
87.6
スイス
591
8
73.9
英国
3611
66
54.7
イラン
3294
81
40.7
スウェーデン
358
10
35.8
デンマーク
139
5.6
24.8
ポルトガル
246
10
24.6
米国
6921
325
21.3
ドイツ
1234
82
15.0
トルコ
425
80
5.3
カナダ
153
38
4.0
韓国
174
51
3.4
中国
3326
1386
2.4
オーストリア
168
90
1.9
ブラジル
343
200
1.7
フィリピン
136
104
1.3
日本
63
120
0.5



(後記:コロナ検査しないで肺炎で死亡している人も多くいる事が分かりこの死亡者数はかなりあやしい気がしてきた。)


肺炎死亡者全部にコロナ検査実施している」…医師が「あり得ない」と反論

https://biz-journal.jp/2020/04/post_150410.html


「死者数もっと多い」は本当か 死因不明の遺体「コロナだったら…」葬儀業界困惑

毎日新聞