2024年4月3日水曜日

ROAD TO NEXT STAGE (核融合は人類を幸福にするのか?)

核融合発電は海水中の重酸素などを燃料とし原子核が融合する際のエネルギーを使って発電するシステムだ。重酸素1gで石油8トンに相当するエネルギーを生むらしい。二酸化炭素を出さず安定した無尽蔵のエネルギーの恩恵を受けることができる。核融合反応は太陽で行なわれている反応と同じでまさしく 地球に小さな太陽を作るようなものだ。

10年前までは夢のエネルギーと言われていたが最近は現実味を帯びてきた。
(といっても実現には少なくとも30年はかかるらしい)
これが実現したら、限界といわれている資本主義社会は無限のエネルギーとAIの発展によりさらなる成長に向け加速していくのであろうか
しかし二酸化炭素を排出しなくても惑星限界(プラネタリー・バウンダリー)を超える負荷を地球に与えれば歪みが生じる。地球上に小さな太陽が大量にできると考えれば影響がでないと考える方が不自然である。

広井良典 は著書「ポスト資本主義」の中で
人類は成長を定常を繰り返してきたとしている
狩猟による成長、芸術による定常(ラスコーの壁画など)、農業による成長、宗教(キリスト教、仏教など)による定常、化石燃料による成長、次の定常である
「ポスト資本主義」(広井良典)より抜粋



成長し続けるのではなく定常状態を迎えることで次の成長につながると考えられる
今の技術力で欲求にまかせて闇雲に成長を続ければ惑星限界を超え地球は存続しても人類は破局する。

定常経済に移行するためには
技術進化は環境、食糧、医療、介護など様々な問題を解決する手段とし
欲求を満たす手段としないことだ。

資本主義社会が人類の欲求を餌に際限なく太っていくモンスターであれば
人類の破局を迎えない為に社会システムを変える必要がある。
それが国民総公務員的な共産主義とは思わない。
新しい形の社会主義を模索する必要がる。
そして私はベーシックインカムに可能性を感じている。


斉藤幸平は著書「マルクス解体」で次のように述べている

社会は、とりわけ豊かな国は、定常型経済へと移行しなければならない。そのためには、純資本形成のない経済、つまり太陽からのエネルギー収支に収まる経済へと移行することが必要である。発展は、とりわけ豊かな経済圏においては、質的、集団的、文化的と言う新しい形態を取らなければならない。

それはマルクス独自の社会主義の見解と調和した持続可能な人間の発展を強調するものである。

P318


「コモンとしての富」をより高次の形で再建することを目指すなら技術の発展は不可欠だ。けれども、そのような生産力の増大を浪費のために使う資本主義とは異なり、脱成長コミュニズムは無限の経済成長を目指すのを止め、贅沢な浪費を促すような部門の生産を減少させるための社会計画と規制を導入する。そのかわり、基本的なサービスの脱商品化や公共支出を通じて「コモンとしての富」を拡張していくことによって、人々は、長時間働いたり昇進したりすることで、より高収入を常に求めなくても、基本的な要求を満たすことができるようになる。アトム化した際限のない競争へのプレッシャーを軽減していくことで、市場外での自由な選択の可能性を拡大していくのである。

P352



人類が定常経済を受け入れ環境危機を克服したあとに
次の成長のため月、火星、その先へに経済領域を拡大していくのであればしかたないが
今の地球を破局に追い込み地球外に経済領域を求めていくような愚業は避けたい。