― 成長社会の終焉と成熟社会のための新たなビジョン ―
成長社会とは自転車競争のような社会だと思う。漕ぐ事をやめたら倒れてしまう。そして勝つために必死にこぎ続ける。時にはその疲労感は喜び与えてくれた。
だが次のコーナーの先に崖がある事に気づいていない
1.成長社会の限界
現代社会は「成長疲れ」の状態にある。
• 気候変動や資源の枯渇は、これ以上の経済的拡大を警告している。
• 労働は疲弊を生み、過労死・うつ・孤立が日常化した。
• 格差は拡大し、成長の果実は特定の層に偏在している。
• 生きることが「働くこと」「稼ぐこと」に過剰に同一視され、立ち止まることが許されない社会になった。
成長はかつて、人々を豊かにした。
しかし今、その成長は、心と地球を蝕みはじめている。
2.全世代年金制度という“スタンド”
自転車を止めるには、支えが要る。
そのために私は全世代年金制度を提案した。
全世代年金制度は、その支えとなる「スタンド」の役割を果たす。
• すべての人に最低限の所得を保障し、
• 「こぎ続けなければ倒れる」という恐怖から解放し、
• 自分のペースで生き方を選べる社会を可能にする。
全世代年金制度は、単なる福祉政策ではない。
社会の前提を、「成長」から「成熟」へと切り替える制度的インフラである。
3.散歩社会(成熟社会)の条件
しかし、ペダルを止めるだけでは不十分だ。
必要なのは、散歩を楽しむ社会の設計である。
それは、次のような価値を大切にする社会である。
◉ 時間の再発見
• 忙しさの代わりに、余白を。
• 「使うための時間」から「味わうための時間」へ。
◉ 関係の再構築
• 孤立ではなく共感へ。
• 家族でも職場でもない、第3のつながりを育てる地域の再生。
◉ 創造と学び
• 生産と消費から、表現と共創へ。
• 何歳からでも学び、創ることができる文化的土壌の整備。
◉ ケアと対話
• 利益よりもケアを、スピードよりも対話を大切にする経済への転換。
4. 金銭以外の豊かさ
成熟社会において、豊かさは「貨幣」だけでは測れない。
• 地域での貢献が評価される共感通貨
• 見守りや支え合いを記録する時間銀行
• 感謝や共創が価値になる「非貨幣的経済」
こうした新たな価値尺度の導入により、人は金銭以外の形で「必要とされている実感」を得ることができる。
自転車競争から降りて、歩く。
歩けば、景色が見える。
風の音、他人の気配、季節の移ろいが聞こえてくる。
立ち止まり、考え、語り合うことができる。
それが「成熟」だ。
全世代年金制度は、そのための静かな制度革命である。
成熟社会が共産主義と誤解されないよう比較してみる
項目 | 成熟社会(例:北欧型) | 共産主義(古典的マルクス主義) |
所有 | 私有財産を認めつつ課税・規制 | 私有財産の否定 |
経済システム | 市場経済ベース(修正資本主義) | 計画経済・国家統制 |
自由 | 個人の選択や言論の自由を尊重 | 過去には制限・弾圧も |
政治制度 | 民主主義(複数政党) | 一党独裁が多かった歴史 |
方法論 | 漸進的改革・合意形成重視 | 革命や暴力的転換の可能性 |
[成熟社会に関連している書籍]
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