2025年7月10日木曜日

自転車競争社会から散歩社会へ

― 成長社会の終焉と成熟社会のための新たなビジョン ―


成長社会とは自転車競争のような社会だと思う。漕ぐ事をやめたら倒れてしまう。そして勝つために必死にこぎ続ける。時にはその疲労感は喜び与えてくれた。

だが次のコーナーの先に崖がある事に気づいていない


1.成長社会の限界


現代社会は「成長疲れ」の状態にある。

気候変動や資源の枯渇は、これ以上の経済的拡大を警告している。

労働は疲弊を生み、過労死・うつ・孤立が日常化した。

格差は拡大し、成長の果実は特定の層に偏在している。

生きることが「働くこと」「稼ぐこと」に過剰に同一視され、立ち止まることが許されない社会になった。


成長はかつて、人々を豊かにした。

しかし今、その成長は、心と地球を蝕みはじめている。


2.全世代年金制度という“スタンド”


自転車を止めるには、支えが要る。

そのために私は全世代年金制度を提案した。

全世代年金制度は、その支えとなる「スタンド」の役割を果たす。

すべての人に最低限の所得を保障し、

「こぎ続けなければ倒れる」という恐怖から解放し、

自分のペースで生き方を選べる社会を可能にする。


全世代年金制度は、単なる福祉政策ではない。

社会の前提を、「成長」から「成熟」へと切り替える制度的インフラである。


3.散歩社会(成熟社会)の条件


しかし、ペダルを止めるだけでは不十分だ。

必要なのは、散歩を楽しむ社会の設計である。

それは、次のような価値を大切にする社会である。


◉ 時間の再発見

忙しさの代わりに、余白を。

「使うための時間」から「味わうための時間」へ。


◉ 関係の再構築

孤立ではなく共感へ。

家族でも職場でもない、第3のつながりを育てる地域の再生。


◉ 創造と学び

生産と消費から、表現と共創へ。

何歳からでも学び、創ることができる文化的土壌の整備。


◉ ケアと対話

利益よりもケアを、スピードよりも対話を大切にする経済への転換。



4. 金銭以外の豊かさ


成熟社会において、豊かさは「貨幣」だけでは測れない。

地域での貢献が評価される共感通貨

見守りや支え合いを記録する時間銀行

感謝や共創が価値になる「非貨幣的経済」


こうした新たな価値尺度の導入により、人は金銭以外の形で「必要とされている実感」を得ることができる。




自転車競争から降りて、歩く。

歩けば、景色が見える。

風の音、他人の気配、季節の移ろいが聞こえてくる。

立ち止まり、考え、語り合うことができる。

それが「成熟」だ。

全世代年金制度は、そのための静かな制度革命である。



成熟社会が共産主義と誤解されないよう比較してみる

項目

成熟社会(例:北欧型)

共産主義(古典的マルクス主義)

所有

私有財産を認めつつ課税・規制

私有財産の否定

経済システム

市場経済ベース(修正資本主義)

計画経済・国家統制

自由

個人の選択や言論の自由を尊重

過去には制限・弾圧も

政治制度

民主主義(複数政党)

一党独裁が多かった歴史

方法論

漸進的改革・合意形成重視

革命や暴力的転換の可能性




[成熟社会に関連している書籍]

  • 資本主義の終焉、その先の世界 著者:榊原英資・水野和夫
  • 経済成長から「成熟」への価値転換を 著者:水野和夫
  • 人口減少社会のデザイン 著者:広井良典
  • コレクションと資本主義 著者:水野和夫・山本豊津
  • 「AI資本主義」は人類を救えるか 著者:中谷巌
  • 「定常経済」は可能だ! 著者:ハーマン・デイリー
  • 想像的福祉社会 著者:広井良典
  • 人口減少社会という希望 著者:広井良典
  • 定常型社会 著者:広井良典
  • ポスト資本主義 著者:広井良典
  • コミュニティを問い直す 著者:広井良典


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