昆虫の黙示録
私は那須と東京の二拠点生活をしているが最近昆虫が減っていると感じていた。以前は夏ホタルが10匹ほど見られたが今年は1匹しか確認できなかった。また網戸などにはカナブンや蛾など多くの昆虫が張りついていたが最近は全くいない。最初は「この地域がここ1〜2年の調子がおかしいのだろうか」と思っていた異変が、実は 地球規模で底が抜けるように進行している構造変化の一部 だったと知り愕然とした。 「インセクト・アポカリプス(昆虫の黙示録)」とよばれているようだ。 世界中で昆虫の数(個体数)や総重量(バイオマス)、そして種多様性が 凄まじいスピードで激減している現象 を指す言葉で2010年代後半から、多くの科学者やメディアが「地球規模の生態系崩壊のサイン」として強い警告を鳴らす際に使われるようになった。単に「特定の珍しい虫が絶滅危惧種になる」という話ではなく、かつてどこにでもいたカナブン、蛾、ハエ、ハチ、そしてホタルのような「ありふれた虫たち」の全体のボリュームが、底が抜けたように減っているのが最大の特徴だ。 虫嫌いな人からみれば「虫がいなくなって快適!」などと思うかもしれないがとんでもないことだ。気候変動のダメージを最もダイレクトに、かつ致命的な形で受けるのが昆虫たちで昆虫がいなくなれば生態系が破壊され社会の土台が崩壊し人類は打つ手がなくなる。人類の危機だ。 2017年にドイツの研究チームが発表した論文で 保護区に指定された自然豊かな森や環境で27年間にわたり虫を採集し続けたところ、 昆虫の総重量が75%以上も減少していた ことが判明した。手つかずの自然が残る場所でさえ、虫たちが文字通り「消えていた」ことがわかり世界に大きな衝撃を与えた。 主な原因は、以下の4つが複雑に絡み合っている(複合汚染)と考えられている。 生息地の喪失と断片化: 都市開発や、効率を重視した大規模農地の拡大により、虫たちが生きる草地や身を隠す藪が分断され、消滅している。 ネオニコチノイド系農薬などの影響: 現代の農業で広く使われる殺虫剤は非常に強力で、標的以外のハチやトンボ、地中の環境を作る虫たちまで広範囲に、かつ長期的に傷つけている。 気候変動(温暖化と乾燥): 季節のサイクルが狂い、植物が芽吹く時期と、虫が羽化する時期に「ズレ」が生じている。また、冬〜春の極端な乾燥や猛暑は、地中で過ごす幼...