2025年7月10日木曜日

全世代型年金制度 (ベーシックインカム改訂案)

 これまで私は、ベーシックインカムに関する提案をいくつかのレポートにまとめてきた。

当初の構想では、既存の年金制度に加えて資産税を新たな財源とし、全国民に年間100万円を無条件で支給するというシステムを想定していた。

しかし検討を進める中で、現行の年金制度を単純に置き換えた場合、一部の高齢者では受給額が減少する恐れがあることが分かってきた。特に、厚生年金の上乗せ部分を含めてすべてをBI化すると、収入が減る層が確実に発生する。

そこで本提案では、年金制度を国民年金(基礎年金)部分に限定して再設計し、それをすべての世代に給付する「全世代型年金制度」として構築する。支給額は、現行の国民年金と同じく年間約80万円とし、全国民に一律で給付される。

つまりこの制度は、従来のように「高齢者になってから支給される」ものではなく、生まれてから亡くなるまで、全世代に無条件で給付される新しい社会保障モデルである。

以下、この制度の制度設計、財源、意義について詳しく述べていく。



全世代型年金制度

〜持続可能な社会保障と公平な再分配の実現に向けて〜


第1章:制度の趣旨と背景


高齢化が進み、少子化が止まらない現代日本において、年金制度の持続可能性と公平性は極めて深刻な課題です。現行の年金制度(特に国民年金)は、未納者や無年金者の存在、給付水準の低さ、そして制度の複雑さなど多くの問題を抱えています。


これに対し、「全世代型年金制度」は、基礎年金を全国民に対して一律に支給する新しい年金モデルとして提案されます。これは従来の「ベーシックインカム構想」を、より現実的・制度的に落とし込み、既存年金制度の改革型バージョンとして設計されています。さらに生活保護制度の代替としても期待出来ます。

また、財源として新たな税制度を提案することにより持続可能な社会保障及び再分配が実現される社会への取り組みでもあります


第2章:制度の骨子

制度名:全世代型年金

支給対象:すべての国民(年齢・所得不問)

年間支給額:80万円/人

給付方法:月額6万6千円を口座に振込(年金番号ベース)

厚生年金(報酬比例部分)は現行通り維持

社会保険料は現行水準を維持第3号優遇廃止)




第3章:財源構成


年間必要財源:約99兆円(全国民1.24億人×80万円)

区分

税目

税収見込 (兆円)

備考

A

現行基礎年金国庫負担(消費税由来)

27

現行制度の国庫負担生活保護費他

B

消費税再設計による増収分

6

食品0%、一般15%、高級品20%

C

資産税(3%

自己申告(相続税様式)

36

個人+法人の金融資産(控除あり) 下表参照

D

固定資産税率引き上げ(1.4%→3%

10

地方税を再設計

E

相続税強化

6

控除見直し・税率引き上げ

G

H

年金所得税

未来型課税(AI・金融取引等)

20

0

高額所得者より年金分徴収

成長課税として制度化

合計


105


必要財源+予備費6兆円

*G 年収600万円から課税、800万円以上で年金分全額徴収 (文末別表参照)


資産税(C、D)内訳


資産階層

金融資産総額(兆円)

税率

年間税収(兆円)

超富裕層(5億円以上)

97

3%

2.91

富裕層(1億~5億円)

236

3%

7.08

準富裕層(5000万~1億円)

255

3%

7.65

合計(個人)



17.64

法人資産の50%に課税

639

3%

19.17

固定資産勢増加分

1.4%を3.0%


10



46.81





未来型課税例 (資産税減収対策)

税目


備考

金融取引税(FAT型)


株式・債券・FX等の取引対象

デジタルサービス税


GAFA型企業・プラットフォーマー課税

AI代替労働課税


AIによる人件費削減利益に応じて課税

カーボンプライシング(排出枠取引税)


脱炭素と連動、企業への負担は限定的



第4章:制度の意義とメリット


1. 安心の最低生活保障

誰でも無条件で年額80万円を受け取る

無年金・低年金問題を根本的に解消


2. 単純・明快な制度設計

複雑な保険料納付・資格要件を不要に

支給漏れ・不公平感を解消


3. 格差是正と所得再分配

資産税・相続税・未来課税を通じて「貯め込み」から「循環」へ

高所得者には所得税で実質的に相殺(再分配)



第5章:将来の展望と持続性確保


全世代型年金制度は、「資産税の縮小」に備えて、以下のような段階的財源移行モデルを組み込んでいます:

フェーズ

資産税依存

未来型課税依存

コメント

初期(〜5年)

高(30兆円)

中(兆円)

資産税の再分配機能が中心

中期(615年)

減少(〜20兆円)

増加(10~15兆円)

未来型課税に主軸移行

長期(15年〜)

低(10兆円未満)

高(20~25兆円)

AI・金融課税が主軸に



第6章:政策の実行可能性と社会的効果

国民の理解を得やすい:「年金」制度の枠内で説明可能

自治体・年金機構等のインフラを流用可:実装コストの抑制

社会全体のベースライン所得を底上げ → 消費・起業・教育・子育ての支援にも

若者・高齢者・非正規労働者の所得安定に貢献 → 生涯設計の自由度を拡大



第7章:制度実現に向けたステップ

1. 財源構成案の立法化(税制改革パッケージ)

2. 全世代型年金法(仮称)の整備

3. 既存制度との接続(厚生年金・医療保険との整合)

4. 市民・自治体・企業との社会対話プロセス

5. 段階的な導入(年齢別・地域別のパイロット展開も検討可)



結語:福祉から共創の時代へ


「全世代型年金」は単なる給付制度ではありません。

これは、すべての人が最低限の生活基盤を得ることで、より自由に、より挑戦的に生きることができる社会への礎です。


その財源は、「余裕のある者が、次代に還元する」という連帯と信頼の設計。

未来型課税と組み合わせたこの制度は、単に過去の老後不安を解消するだけでなく、未来を創る福祉の転換点でもあります。



参考データ:所得別年金税及び税収想定


所得金額

全世代年金

年金税   円

税率%

手取

想定人数

税収    億円

¥1,800,000

¥800,000

¥0

0%

¥2,600,000

37,200,000

0

¥2,000,000

¥800,000

¥0

0%

¥2,800,000

3,100,000

0

¥2,200,000

¥800,000

¥0

0%

¥3,000,000

3,100,000

0

¥2,400,000

¥800,000

¥0

0%

¥3,200,000

3,100,000

0

¥2,600,000

¥800,000

¥0

0%

¥3,400,000

3,100,000

0

¥2,800,000

¥800,000

¥0

0%

¥3,600,000

3,100,000

0

¥3,000,000

¥800,000

¥0

0%

¥3,800,000

3,100,000

0

¥3,200,000

¥800,000

¥0

0%

¥4,000,000

3,100,000

0

¥3,400,000

¥800,000

¥0

0%

¥4,200,000

3,100,000

0

¥3,600,000

¥800,000

¥0

0%

¥4,400,000

3,100,000

0

¥3,800,000

¥800,000

¥0

0%

¥4,600,000

3,100,000

0

¥4,000,000

¥800,000

¥0

0%

¥4,800,000

2,480,000

0

¥4,200,000

¥800,000

¥0

0%

¥5,000,000

2,480,000

0

¥4,400,000

¥800,000

¥0

0%

¥5,200,000

2,480,000

0

¥4,600,000

¥800,000

¥0

0%

¥5,400,000

2,480,000

0

¥4,800,000

¥800,000

¥0

0%

¥5,600,000

2,480,000

0

¥5,000,000

¥800,000

¥0

0%

¥5,800,000

2,480,000

0

¥5,200,000

¥800,000

¥0

0%

¥6,000,000

2,480,000

0

¥5,400,000

¥800,000

¥0

0%

¥6,200,000

2,480,000

0

¥5,600,000

¥800,000

¥0

0%

¥6,400,000

2,480,000

0

¥5,800,000

¥800,000

¥0

0%

¥6,600,000

2,480,000

0

¥6,000,000

¥800,000

¥180,000

3%

¥6,620,000

1,240,000

2,232

¥6,200,000

¥800,000

¥186,000

3%

¥6,814,000

1,240,000

2,306.4

¥6,400,000

¥800,000

¥192,000

3%

¥7,008,000

1,240,000

2,380.8

¥6,600,000

¥800,000

¥330,000

5%

¥7,070,000

1,240,000

4,092

¥6,800,000

¥800,000

¥340,000

5%

¥7,260,000

1,240,000

4,216

¥7,000,000

¥800,000

¥560,000

8%

¥7,240,000

1,240,000

6,944

¥7,200,000

¥800,000

¥576,000

8%

¥7,424,000

1,240,000

7,142.4

¥7,400,000

¥800,000

¥592,000

8%

¥7,608,000

1,240,000

7,340.8

¥7,600,000

¥800,000

¥608,000

8%

¥7,792,000

1,240,000

7,539.2

¥7,800,000

¥800,000

¥624,000

8%

¥7,976,000

1,240,000

7,737.6

¥8,000,000

¥800,000

¥800,000

均一

¥8,000,000

18,600,000

148,800






124,000,000

200,731.2




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